・ビーチクリーンアップ大作戦  漂着ごみを拾って調べて考える

八重山環境ネットワーク「西表エコプロジェクト」と協働し、10年に渡り毎月1回の海岸清掃活動「ビーチクリーンアップ大作戦」を行っています。

拾っても拾っても流れ着く漂着ごみは処理も含めゴールの見えない環境問題です。そこで我々は拾うだけではなく、回収した漂着ごみの種類や原産国を調査しながら原因や解決策を探る際に役立ててもらえるデータを蓄積しています。​また、共に活動する地域ボランティア、子供達と一緒に生活の中でゴミの発生を抑制していけるよう普及啓発活動を続けています。ビーチクリーンは月に1度の定例開催の他にも、小中学校や他団体と提携を取り合いながら行っています。

法律が  出来た!

 

⇒漂着ごみをなくすために   西表島のボランティア「西表エコプロジェクト」の取り組み

​大好きな西表島!

またイリオモテヤマネコをはじめとした希少な野生生物の宝庫でもあり、生き物をはぐくむ原生的な自然が息づく「日本最後の秘境」と称されています。美しい珊瑚の海と森を繋ぐ河川沿岸にはマングローブが発達し近年ではこういった自然を楽しむ自然体験ツアーの舞台として多くの観光客の皆さんにも楽しんでいただく島となっています。

問題に

​気づく

2.マングローブ林に大量のごみが散乱している!

近年、マングローブ林床におびただしい数の漂着ゴミが散乱するようになってきました。

どうやらマングローブの特徴的な地上に突き出た根の突起が漂着ゴミを絡めとってしまう様です。西表島で一番人気の自然体験ツアーフィールドである船浦湾のマングローブ林の漂着ゴミは特にひどい状態です。

問題の背景を探る①

3.なぜ漂着ごみが放置されているの?

家庭から出るゴミは一般廃棄物として市町村が処理をします。事業活動で出るゴミは産業廃棄物として排出した事業者が適正に処理を行うことが義務づけられています。
さて、漂着ゴミは?というと・・・

日本国内の海岸は「海岸法」という法律により「都道府県知事」が「海岸管理者」とされ適正に管理するよう義務付けられています。しかし管理という曖昧な記述の為漂着ゴミ処理はうやむやの状態。また簡単に処理できないほど多量の

​ゴミが漂着していました。

問題の背景を探る②

4.高額な処理費用が必要だった!

人口数千人あまりの小さな自治体では、日々流れ着く漂着ゴミまで処理するゆとりがありません。又、離島には産業廃棄物を処理する施設も事業所もありません。ボランティアで回収しても・・その後の処理は会場運搬費を含め膨大な金額になり負担が多すぎるのです!

出来る事は何だろう?

5. 「住民にできること」ってなんだろう?

そこで考えたのが・・

たくさん拾わなくても法律の是正や国の予算措置・国際協力に繋がる活動をする方法。

まずは様々な角度から漂着ゴミを定期的に詳しく調べることに。これは地元の住民だからこそできること。

​経験的に私たちはどこにでも同じようにゴミが漂着しているわけではないことに気づいていました。そこで島に調査地を設けて調べてみると北海岸への漂着が圧倒的に多かったのです。また北海岸に当たる船浦湾で詳細を調べると北東向きの海岸にたくさん漂着する事がわかりました。

これらの結果、「漂流物を運ぶ力」が「海流」だけではなく「北からの力」という存在に気づきました。

行動しよう①

① 漂着ゴミの正体は? 漂着ゴミの95.9%がプラスティック製品! 

                        (ゴミの中身を調べてみよう)

② 島中にゴミが漂着しているの? →海岸別に漂着量を調査してみた!(場所ごとに調べてみよう)

③ いったいどこから来るの? →ペットボトルを例にとって生産国を調べてみた!(発生地点を調べてみよう!)

漂着ゴミを大まかに分別してみると、グラフのような内容で

発泡スチロール42.2% 漁具ロープ類4.8% プラスチックブイ20.3%  その他プラスチック製品15.9% ペットボトル12.6% ガラス製品1.9% 金属製品1.7% 布製品0.1% 紙製品0.1% ゴム製品0.3%となり、

95.9%がプラスチック製品だということがわかりました。

そして発砲スチロールのほとんどが漁業用のブイとトロ箱で70.2%が産業廃棄物、残り29.8%が一般廃棄物でした。

​つまり、3割のゴミは市民の努力で減らせるとも言えるのです。

2003年より 

ペットボトルバーコードから生産国を調べています

①漂着量の多い国:おもしろいことに東アジア(中国、台湾、日本、韓国)が多く、2003年はこの4カ国で90%以上を占めました。ペットボトルなど水面に浮くゴミには「北方からの運ぶ力」が強く作用している証拠です。おそらくこれは冬場の季節風でしょう。また、年々東南アジアからの漂着が増える傾向にある事がわかりました。

②漂着量の増えている国:調査開始の2003年には台湾に次いで26.7%だった中国が2011年には59.1%を占めて増加傾向です。また、同じように2003年には0だったベトナムが2011年には5.5%を占め第4位になっていました。

③漂着量が減少している国:2003年に31.4%で第1位だった台湾、15.8%で第4位の韓国でしたが2011年の調査では台湾は2位ではあるものの13.9%に割合が減少、韓国は3.7%で6位になっています。 それぞれの国での取り組みが着実に実を結んでいると考えられます。

行動しよう②

6.住民の力で国を動かした! ●●海岸漂着物処理推進法●●

平成21年7月15日、議員立法で「海岸漂着物処理推進法」が交付、施工されました。

JEAN(クリーンアップ全国事務局)を中心に国内各地の市民グループの活動が国会議員を動かしたのです。 海岸漂着物の処理は海岸管理者である都道府県知事の責任として明記され国も必要な予算措置をとる事になりました。この法律は海岸法の不備を補うばかりではなく、市町村や団体・地域住民も適切な役割分担や連携をとって海岸環境の保全・再生に協力するように言及された内容となっています。

法律が  出来た!

​段々

見えてきた

7.日本のゴミも世界に旅している!?

ここ、西表島ではペットボトルの90%以上が海外からの漂着という現状でした。しかし、2008年に環境省が全国で調査した結果多くの調査地では日本製の漂着ゴミが最も多いと判明しました。

また、絶滅危惧種コアホウドリの繁殖地として有名なハワイ諸島の北西端ミッドウェー諸島の海岸は日本から漂着するゴミで埋め尽くされています。雛の死骸からはエサと間違えて摂ったと考えられる日本制のプラスチックゴミがみつかっています。

未来を考え

​動きだそう

8.終わりのない漂着ごみ問題を解決するために

私たちはこの漂着ゴミ問題を通して1つの大きな事を学びました。

「取り組みを始めれば、確実に問題解決への時間は早まる」ということです。そして、今後必要となってくるのは次の1歩です。

①地域の未来への1歩 ----「市町村と住民の協働」

 回収処理は都道府県の仕事ですが、

 市町村や住民が協力すればより早くゴールに到達できる事が明らかです。

②企業の未来への1歩 ----「製品の改良

 漂着ゴミとなっている製品は明らかになっています。関連企業の対応が望まれます。

 ・発砲スチロール製やプラスチック製のブイが漂流しない為の改良

 ・ペットボトルを使用せず飲料だけを売る販売体系への転換​

③活動グループの未来への1歩 ----「国際協力体制の構築支援」

 漂着ゴミの発生抑制には国家レベルでの協力体制が必要です。

 体制構築の後押しとなるようなデータを各地で収集しましょう。

1.西表島は人と自然が共生する島

九州から台湾にかけて連なる琉球列島、その南西端の八重山諸島に西表島はあります。東京からは約2,000㎞、沖縄本島から460㎞、台湾からは200㎞です。夏になると太平洋高気圧に覆われて南風が吹き、冬になると大陸高気圧の張り出しにより北東の風が強く吹きます。台湾と西表島の間には強い暖流、黒潮が北へ向かって流れています。

島では古くから人々が暮らし、稲作が盛んにおこなわれてきました。現代においても伝統的な稲作文化をはじめ自然と人々が密接にかかわる文化が継承されています。

 

⇒これまでの西表島漂着ゴミ収集結果  過去の統計データ

西表島の漂着ゴミに関して (西表エコプロジェクトより)

■「ゴミ種別ごとの統計データ」 2011年から月に1度、年12回の漂着ゴミ収集の結果 

総量はトン袋単位です。20%以上を占めるゴミ種別(主に発泡スチロール、ブイ、プラスチック)を赤字にしています。10~19%を占めるゴミ(主にPETボトル、ブイ、プラスチック)は青字にしています。

漂着ゴミの90%近くが自然に還らないものであるプラスチック系の水に浮くゴミであることがわかります。

 漂着ゴミ種別ごと 7年間の割合推移 

​棒グラフから比べてみます。

2011年当初は全体の42%程を占めていた発泡スチロールゴミは徐々に減少し2017年には30%弱になっています。ブイもよく観察すると緩やかに減少しています。

逆にプラスチックゴミが少しずつ増加傾向にあり2017年には30%弱を占めるようになりました。

​ペットボトルはほぼ横ばい状態。漁具・船具が当初に比べると約2倍ほどに増加傾向。

その他を表から確認すると増減はあまり確認できません。

このことから水に浮かぶプラスチック製のゴミを中心に年度により種類ごとの変化は認められるものの、全体を通して常にプラスチック系のゴミが大半を占めています。​

 

 漂着ゴミ種別ごと 7年の推移 

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■西表島に流れ着く主な漂着ゴミ見本

発泡スチロールやペットボトルなどはどこでもよく見られる漂着ゴミです。​

大きな浮き用もあればトロ箱もあり形、サイズは様々
様々ななサイズ、形。中には変色した液体が詰まっていることも多い
主に海外で使用されているアナゴやヌタウナギ用の漁具
絡まって重いので非常にやっかいなゴミ・海洋生物が絡まることも問題
定置網などで利用されたブイと思われる巨大なもの~小サイズまで色々
欠けているものが多い。角がとれた欠片がビーチグラスに
イカ釣り漁船で使用している集魚灯タイプのものもある
家庭用の蛍光灯や丸型電球など様々
危険そうなものもある・注射器などもよく見かける
ポリタンク。中には危険物マークのものもある
カゴや型抜きされた枠だったり、何かの部品のようなものなど色々
稀に紙パック飲料などもみかける。
流れ出た船舶燃料、オイルが粘着性のある塊となり流れ着いた物。
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2018年6月1日 西表島北東部 中野海岸

2018年6月1日 西表島北東部 中野海岸

2011/2/16 北東部の汽水域で細い紐と黒いスポンジ?それに様々なものが絡まってもがくウミガメの子供を発見。人間の手でも絡まりをとることができないので医療用のハサミでゴミを切って解放しました。

国の天然記念物 オカヤドカリ。

本来は貝殻を背負う生き物ですが・・

この個体にとってちょうどサイズがばっちりだったのがゴミとなっていたプラスチックボトルの欠片だったようです。

■「ペットボトルの生産国別統計データ」 2011年から月に1度、年12回の漂着ゴミ収集の結果 

回収総数に対してラベルのあるもののみデータ対象です。

50%以上を占めている中国は赤字、10%以上を占める数字(台湾、日本)は青字、5~9%を占める数字(台湾、日本、ベトナム)が緑字です。

中国産のペットボトルが当初から半数を上回り、2017年においても70%近くを占めていることがわかります。中国の数値は下がることなくゆるやかに伸びています。

また、全体的に数値の高い産出国のほとんどがアジア圏であることもよくわかります。

2011年より常に2~3番目あたりに位置している台湾及び日本ですが、年度を追うごとに少しずつ減少傾向にあり2017年は当初の数値に比べると割合は半分以下に減っています。

 回収ペットボトル 国別生産国の推移 

 
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初夏を代表するはサガリバナはな花、
ユツン川近く

マングローブ林にまで入り込んで漂着ゴミ